第二章 愛の理論 1愛、それは人間の実存の問題に対する答え①

人間・動物にも愛はあるが、本能的なもの。人間は他の動物と違い、「理性」を持っている。

理性を持っているからこそ、未来への不安・孤立無援への恐怖が生まれる。

人間の最も強い欲求は、孤立を克服し、孤独の牢獄から抜け出したいという欲求である。

この孤独を解消する為の方法は様々ある。

・外界を遮断し、外界を作らず、とことん引きこもること

・幼児は母親がそばにいるだけで癒される。成長するにつれて効果が薄くなる。

『1 興奮状態』

・お祭りなどの祝祭的興奮状態が、集団との一体感をうみ、孤独を消してくれる。セックスもその一つ。一過性のもの。

・酒・麻薬によって生まれる興奮状態で逃避できる。一過性のもの。愛のないセックスはこちらに含まれる。

これらの興奮状態によって孤独を解消する方法は、特徴が3つ。

①強烈・激烈②精神と肉体の双方にわたって人格全体に起きる。③長続きせず、断続的・周期的に起きる。

『2 集団への同調』

・慣習・集団・しきたり・進行は、興奮とは反対だが、孤独からは救われる。ただ、穏やかで惰性的である為、孤独を埋める手段としては不十分だ。

そのために、アルコール・薬物・セックス依存症・自殺が起こる。集団への道長が上手くっていないことへのあらわれた。そしてこれは、精神に作用するもので肉体は関係ないため不十分。メリットは中続きすることだ。

・仕事も娯楽も型通りのものになっている、。

そうすることで、自分が人間であること、唯一無二の個人であること、たった一度だけ生きるチャンスを与えられたこと、希望もあれば失望もあり、悲しみや恐れ、愛への憧れや、無と孤立の恐怖もあることを忘れてしまう。

『3 創造的活動』

・芸術的なもの、食神的なものなど。人間は素材と一体化して孤独を癒すことができる。

興奮状態も集団への同調も創造的活動も、部分的な回答でしかない。

完全な回答は人間同士の一体化、他者との融合、すなわち「愛」にある。

自分以外の人間と融合したいというこの欲望こそが、人間の最も強い欲望である。

成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合。自分の中にある能動的な力。

愛によって、人は孤独感・孤立感を克服するが、依然として自分自身のままであり、自分の全体性を失わない。2人が1人になり、しかも2人であり続ける。

愛は行動であり、人間的な力の実践で、自由でなければ実践できず、実践を強制することはできない。

愛は能動的な活動であり、受動的な感情ではない。愛は何よりも与えることであり、もらうことではない。

与えることは、性格が受け取り、利用し、ため込むといった段階から抜け出していない人は、与えるという行為を、剥ぎ取られること、犠牲にすることと思い込む。

生産的な人にとって与えることは、自分のもてる力の最も高度な表現である。自分のもてる力と豊さを実感する。この生命力と能力の高まりに、喜びを覚える。与えるという行為が自分の生命力の表現。

例えばセックス・母親。沢山与えることができる人が裕福な人。ため込む人ではない。

自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分の中に息づいているもの全てを与えることが最も重要なことで、生命を与えるということ。

愛とは愛を生む力であり、愛せなければ愛を生むことはできない。

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